第18章

矢野純平は今日、このウェディングドレスショップに自分の彼女へのアクセサリーを買いに来ていた。

まさか水原遥に出会うとは思わなかった。

彼はさっきテーブルでの出来事をすべて目にしていて、今は口元に笑みを浮かべながら水原遥のほうへ歩み寄った。

「やあ、なんて偶然ね。植田は?一緒に来てないの?」

水原遥も少し驚いたが、すぐに感情を立て直して、軽く笑いながら答えた。「彼は仕事が忙しくて。それにこちらのことで彼を煩わせる必要もないですし」

水原遥はさっきまで植田真弥が来なくて良かったと思っていた。

もし来ていたら、水原家のこのごたごたを見て、きっと煩わしく思うだけだろうから。

「それは植...

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